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8-4 間取りのヒント

子どもを伸ばす! 学びの環境づくり①

2025.05.07

子どもの健やかな成長と発達のために、家庭でできること《前編》

日々成長していく子どものために、家庭ではどんなことができるでしょう?大切なことは子どもが自ら学びたいと感じられる環境を家全体で整えてあげることだと、日本こども成育協会理事長の羽富孝さんは言います。子どもの健やかな成長と発達のためにはどんなポイントを意識すればよいか、具体的にはどんなことができるのか、詳しいお話をお伺いしました。ご自宅で子どもの成長をサポートできるような、環境づくりのヒントにしてみてください。

INTRO 子どもの能動的な学びをサポートしよう INTRO 子どもの能動的な学びをサポートしよう

子どもは幼いうちに大好きな人を見つけ、マネっこをすることで自分の世界を広げていきます。このような能動的な“学び”には、自ら行動し、考え、発信していくというサイクルを回すことが大切です。子どもの学びを促す環境づくりのために、まずは学びの基本となるポイントを見ていきましょう。

学びのために必要な3STEPS 学びのために必要な3STEPS

実際に体を動かして触る、見る、聴くといった経験を重
ねることが、子どもの成長・発達の土台となります。

体を動かして得た経験から、どうしてこうなるんだろう?
と知的好奇心が生まれることで“学び”の意欲が芽生えます。

経験や考えを家族などの他者に話すことによって、
主体性や論理的思考が育まれます。

HOW TO 今日からできる学びの環境づくり HOW TO 今日からできる学びの環境づくり

ここからは、実際に親目線でできる環境づくりと、それが、子どもにどんな影響を与えるか。それぞれの視点から、すぐにでも始められる工夫やポイントをご紹介します。

STEP1 動く体を動かすと、心も動いていく STEP1 動く体を動かすと、心も動いていく

子どもが自分を表現できる場所を用意しよう 子どもが自分を表現できる場所を用意しよう
  • 親 親
  • 子どもが自分の考えや、やりたいことを自由に表現できる場をつくってあげましょう。家族みんなが子どもの成長を観察し、反応してあげることができるリビングの一角や、ステージ代わりになる畳コーナーや板の間などがおすすめです。

CHECK 専用のスペースがない場合は、マットを一枚敷いてあげるだけでもOK! 子どもが自分のステージだと認識しやすくなります。 CHECK 専用のスペースがない場合は、マットを一枚敷いてあげるだけでもOK! 子どもが自分のステージだと認識しやすくなります。
  • 子ども 子ども
  • 自己を解放する場があることで、歌ったり踊ったり、興味があることを表現したり、そこからコミュニケーションが生まれたり。子どもが育つうえで大切な、生活する楽しさや生きる喜びにつながります。

子どもにとっての危険を排除してあげる 子どもにとっての危険を排除してあげる
  • 親 親
  • 子どもにとっての危険な箇所に対策をして思い切り遊ばせてあげましょう。また、危ないところには“なぜ入ったらいけないか”を言葉で丁寧に説明することで物事の因果関係を理解する準備ができます。

CHECK 子どもの発達段階に合わせて増えていく危険を理解しておきましょう。 CHECK 子どもの発達段階に合わせて増えていく危険を理解しておきましょう。
  • 子ども 子ども
  • 危険な場所に対する対策がキチンと取られていれば、安心しておうちの中で体を動かし、たくさんの経験を楽しむことができます。

  • くわしくは下のポイントをチェック! くわしくは下のポイントをチェック!
家のここがあぶない!? チェックポイント 家のここがあぶない!? チェックポイント
  • 舐めて確認期 0歳ごろ 舐めて確認期 0歳ごろ
  • 棚・引き出し 棚・引き出し

    なんでも口に入れて味や感触を確かめる時期。引き出しも自分で開けられるので、お酒や薬品などは、手の届かないところに置きましょう。

  • 探検期:1歳ごろ 探検期:1歳ごろ
  • 窓際 窓際

    あっちこっち歩き回って家の中を探検する時期。窓際にソファや棚があると、よじ登って窓から転落してしまう恐れがあるため、窓の近くに足がかりになるものを置くことは避けましょう。

  • かくれんぼ期:3歳ごろ かくれんぼ期:3歳ごろ
  • お風呂 お風呂

    集団遊びなどを覚える時期は、かくれんぼのつもりで危険な場所に入ってしまう恐れが。お風呂の残り湯が10cm溜まっているだけで溺れてしまうこともあるため、浴室や洗濯機の扉は、使用時以外はロックをかけましょう。

STEP2 考える あたまで考えて、世界が広がっていく STEP2 考える あたまで考えて、世界が広がっていく

色やカタチは季節の飾り付けで触れさせる 色やカタチは季節の飾り付けで触れさせる
  • 親 親
  • 子どもは基本となる三原色(赤・青・黄)や丸・三角・四角から、色とカタチを覚えていきます。さまざまな色やカタチに触れることで、子どもの右脳が活性化され、感性が育まれます。壁にタペストリーをかけるなど季節ごとの飾り付けで取り入れてみましょう。

CHECK 飾り付ける際は、白を混ぜたペールトーンの色味がおすすめ。子どもの満足感や優しい気持ちを引き出す効果があります。 CHECK 飾り付ける際は、白を混ぜたペールトーンの色味がおすすめ。子どもの満足感や優しい気持ちを引き出す効果があります。
  • 子ども 子ども
  • 基本の色やカタチから理解の幅を広げるポイントは「楽しんで触れること」。たとえば、丸いものはころがる、この季節はこの色をよく見るなど、生活の中で図形や色彩に触れることで、感性が豊かに磨かれていきます。

片付けは考えるための大きなチャンス 片付けは考えるための大きなチャンス

大人が「片付けなさい!」と言っても、小さな子どもはそもそも散らかっているという認識がありません。そこで、片付けを遊びの延長として取り入れてみましょう。まずは、箱に入れる、同じ仲間で分けるなど、遊びとしてモノの性質を考えて分別することで論理的思考も養うことができます。

年齢別の片づけポイント 年齢別の片づけポイント
    • 1~2歳ごろ 1~2歳ごろ
    • 見えない場所にしまうということが、まだ理解できない時期。遊ぶ場所のすぐそばに収納ボックスなどを常に出しておき、そこに入れたらOKという遊びにしましょう。

    • 3歳ごろ 3歳ごろ
    • “仲間分け”を覚え始める時期。「赤いものはここに入れる!」など自分で分けることもできるようになるため、ラベルを貼ってあげるなどサポートをしてあげましょう。

    • 4歳ごろ 4歳ごろ
    • 機能や特徴から仲間分けの条件を考えることができるようになります。しまう場所を決めてもらい、分け方の理由を聞くことで、考えたことを言葉にする基礎を育みましょう。

STEP3 話す 自分の言葉で、考えを伝える STEP3 話す 自分の言葉で、考えを伝える

興味を共有して家族がつながる 興味を共有して家族がつながる
  • 親 親
  • リビングに本棚を用意すれば、家族の情報を共有する場になります。子どもが手に取っている本を観察することでどんなことに興味があるのか分かり、関連する話題や情報を提供する機会も増やすことができます。

CHECK 家族共通の図書として辞書や図鑑を置いておくのも◎。絵本の中に動物が出てきたらすぐに一緒に調べることもできます。 CHECK 家族共通の図書として辞書や図鑑を置いておくのも◎。絵本の中に動物が出てきたらすぐに一緒に調べることもできます。
  • 子ども 子ども
  • 家族がどんなことに興味を持っているか、自分の知らない世界に触れるきっかけができます。また、家族の興味があることをもっと知りたいと思うことで、会話が生まれコミュニケーションが増えていきます。

話す内容で、子どもとの位置関係を考えましょう 話す内容で、子どもとの位置関係を考えましょう
  • 親 親
  • 子どもと親密に話し合える関係をつくるには、座るときの位置を意識しましょう。たとえば、本音を聞きたいときは横並びに。リラックスして話したいときは斜め90度に座ると、子どもが話しやすい雰囲気をつくることができます。

CHECK リビング学習など、子どもの表情を観察し、何を考え、どうして欲しいかを読み取るには対面で見守るのも良いでしょう。 CHECK リビング学習など、子どもの表情を観察し、何を考え、どうして欲しいかを読み取るには対面で見守るのも良いでしょう。
  • 子ども 子ども
  • 横並びや斜向かいに座るとお互いの顔を直視しなくてよくなり、緊張せずに話すことができます。また、角度があることで、テーブルの上にあるアイテムを見るなど、視線を動かす自由があるため、リラックスできます。

学びの環境づくりに役立つ3つのステップをもとに、お子様の年齢に合わせたサポートを、生活の中で意識することから始めてみませんか?

SUPERVISOR 一般社団法人 
日本こども成育協会
理事長 羽富 孝さん

2009年より株式会社Patataを設立、代表取締役に就任。子ども達のより良い環境づくりを目指し、保育所の開設をサポートする事業と共に、知育玩具の販売などを手がける。2017年からは、一般社団法人 日本こども成育協会を設立し、理事長に就任。家庭をはじめ、社会において子どもの成長・発達を、より良くサポートする環境をつくり、親や子育てに関わる大人の皆さんに向けて、子どもの育ちに欠かせない「食」を軸に、子どもに関する専門知識を持ち、子育てをサポートする専門家「こども成育インストラクター」を養成する講座などの開発、運営をしている。

羽富 孝さん
iikoto

『iikoto』は、豊かに、健やかに、楽しく暮らすためのヒントが詰まった、一条のライフスタイルマガジンです。無料でプレゼントいたしますので、バックナンバーページからぜひご請求ください。

※本記事は『iikoto』(2023年3月号)の特集をもとに編集しています。

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