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12-7 安全な暮らし

日常を取り戻すための備えを! まずは「食と水」から

2025.09.01

いざという時もこれで安心!備えて試せる防災力アップ術《前編》

「防災を、もっと“自分ごと”として捉えてほしい」。そう話すのは国際災害レスキューナースの辻直美さん。備蓄すべき水の量も、防災リュックの中身も、本来、人それぞれ違うはずで、自分に合った正解を見つけておくことが、とても大切なのだそうです。そこで今回は、災害が起きたときに困らないよう、防災に関する考え方や具体的な「備え」についてお話を伺いました。ご自宅の安全対策を見直してみませんか?

防災とは… 命を守り、速やかに日常を取り戻すための備え 防災とは… 命を守り、速やかに日常を取り戻すための備え

「防災」って何のためにするのでしょうか?「災害を防ぐためのもの」というイメージがあるかもしれませんが、自然災害、とくに地震は予知することが難しいため「防災=被害0」にはできません。災害時、まずは「自分と家族の命を守る」。そして、なるべく早く「ふだん通りの暮らしに戻す」。そのための備えが、本当の意味での「防災」なのです。

Check “ふだん通り”に近づくため、何を優先したいか知っておこう Check “ふだん通り”に近づくため、何を優先したいか知っておこう

  • ひとたび災害が起こると、ふだん通りの生活は送れなくなります。食べること、清潔でいること、眠ること、あるいは心の平穏を保つこと…自分にとって何がいちばん重要で、何を優先したいのかを知っておきましょう。それが得られることで気持ちが前向きになり、ふだんの暮らしを速やかに取り戻すことにつながります。

Check“備え”はゴールでなくスタート とにかく試してみよう Check“備え”はゴールでなくスタート とにかく試してみよう

  • 防災グッズを備えただけで、安心していませんか?もし災害時にうまく使えなかったら…ちょっと不安ですよね。ぜひ一度、練習だと思って使ってみてください。そうすることで、使い勝手や数の不足など色々な改善点も見えてきます。いざというとき戸惑うことがないように、日々の暮らしの中でどんどん試していきましょう。

防災 WHY&TRY 防災 WHY&TRY

災害時はふだん通りの行動が取れないと思っておきましょう。そのためまず、災害時には何をすべきかを知り、日々の暮らしの中で試してみる。そうすることで咄嗟に行動でき、自分も周りの人も守れるようになります。在宅避難を想定して、防災の「なぜ?」とそれを解消する「トライ!」をご紹介します。

※安全に避難できる場合には、各自治体の指示に従って避難してください

CATEGORY01 食・水 CATEGORY01 食・水

災害が発生したら、電気・ガス・水道が停止し、さらに物流が止まるケースも珍しくありません。ふだん通りの生活が困難になるため、命をつなぐ「食」と「水」の備えは必要不可欠です。

本当に必要な水の量を知る 本当に必要な水の量を知る
WHY どうして? WHY どうして?

災害時の水の備蓄は飲用水と生活用水を合わせて1人あたり1日3L必要と言われていますが、これは非常時に必要な最低限の量。ふだんは1人あたり平均221 L/日もの水を使っています。人によっては3Lの水では少ない場合があり、飲用水が足りないと脱水症などを引き起こす可能性もあります。

※出典:東京都水道局/令和3年度
TRY やってみよう! TRY やってみよう!
  • 24時間を3Lの水だけで過ごしてみましょう。足りなくなった時点でリタイアしてOK。何時に水を使い切ったか、主に何に使ったかを振り返ることで、自分の水の使い方をイメージでき、本当に必要な水の量がわかります。

停電しても冷蔵庫は焦って開けない 停電しても冷蔵庫は焦って開けない
WHY どうして? WHY どうして?
  • 停電したら、「すぐに冷蔵庫の食品を使わないと!」と思う方が多いかもしれませんが、むやみに扉を開閉すれば、庫内の冷気が逃げてしまい食品が傷んで食べられなくなる原因に。冷気を逃さなければ冷凍室の冷凍食品も1日程度もちます。

  • 食品を消費する順番 食品を消費する順番

    ① 冷蔵室の生鮮食品
    ② 溶け始めたら冷凍室の冷凍食品
    ③ 野菜室の野菜
    ④ 常温保存の食品
    の順番で使用しましょう!

TRY やってみよう!

冷蔵庫を整理して中身を把握しましょう。ふだんからどこに何があるのか把握しておけば、無駄な開閉で冷気が逃げるのを防げます。食品は収納ボックスなどを活用し立てて保存。“見える化”できる上、スペースを効率的に使えます。また、冷凍室は隙間なく詰めたほうが食品同士で保冷し合い、長く低温を保てます。

保温調理で温かい食事をつくる 保温調理で温かい食事をつくる
WHY どうして? WHY どうして?

ガスや電気の供給がストップするとふだんの調理ができなくなります。冷えた食事ばかりだと気持ちも下がり、体調を崩してしまうことも…。温かい料理を食べれば体の芯から温めることができ、生きる活力にもつながります。

TRY やってみよう! TRY やってみよう!

スープなどを保温しながら持ち運べるスープジャー。実は調理器具としても使えます。高い保温力を活かした“ほったらかし調理”が可能。朝に沸かしたお湯の中に材料を入れて放置すれば、お昼には中華粥の完成!

ほったらかし中華粥(1人分、360mlのスープジャーを使用) ほったらかし中華粥(1人分、360mlのスープジャーを使用)
  • スープジャーに熱湯(100ml)を入れて蓋を閉め、3分ほど保温する
    ❶のお湯を出して、無洗米(大さじ3)、熱湯(150ml)、鶏がらスープの素
    (小さじ1/2)を入れる
    蓋を閉めて、2~3時間置けばできあがり

    ※お湯は生活用水として再利用できます。
  • ライフラインが停止しても使えるカセットコンロとガスボンベは必須アイテム。ガスボンベの消費は意外と早いので、賢く使うためにも保温調理を!

備蓄用の食品は、ふだんから見える場所に 備蓄用の食品は、ふだんから見える場所に
WHY どうして? WHY どうして?

備蓄用の食品を押し入れなどの奥にしまい込んでいませんか?せっかくの備蓄も、いざというとき賞味期限が切れていたら、元も子もありません。賞味期限が長い防災用の食品でも、しっかり管理することが大切です。

TRY やってみよう! TRY やってみよう!

食品は箱やケースに並べて見える場所に収納を。手前から賞味期限順に並べ、手前から使っていきます。見える場所に収納することで、残数もひと目でわかります。買い足して補充すれば「ローリングストック」にも。

防災リュックには好きな食品を入れる 防災リュックには好きな食品を入れる
WHY どうして? WHY どうして?

災害が起こると人は大きく動揺し、メンタルにも悪影響を及ぼす場合があります。そんなときだからこそ気分を上げるために重要なのが “食べる”という行為。ふだん食べていない保存食では、のどを通りにくく、ストレスも溜まります。食べ慣れているものや、お気に入りの食品を用意しましょう。

TRY やってみよう! TRY やってみよう!

防災リュックに詰める食品は、とにかく好きなもの、気分の上がるものを。とっておきの「高級牛肉レトルトカレー」なんていうのもアリです。子どものリュックなら、お菓子を詰めてあげても構いません。

水のボトルは分散して備蓄する 水のボトルは分散して備蓄する
WHY どうして? WHY どうして?

水の備蓄を1ヵ所にまとめていると、災害時に保管場所のドアが開かなくなって取れない、物が落下してペットボトルが破損して飲めなくなる、といった不測の事態が考えられます。

TRY やってみよう! TRY やってみよう!

家全体を備蓄庫として捉え、命に関わる水は家中のあちこちに備蓄しましょう。リビングやキッチンはもちろん、寝室や玄関にも備えておけば安心です。万が一、閉じ込められてしまう可能性を考えて、トイレや脱衣所に置いておくのもいいでしょう。

防災のための備えとして「食」や「水」は欠かせないものですが、このほかにも考えておきたい「備え」があります。後編では、これ以外にも“ふだん通り”の暮らしを取り戻すために重要な防災術についてご紹介します。

監修 国際災害レスキューナース/
一般社団法人 育母塾代表理事
辻直美さん

看護師として勤務中に阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に災害医療に目覚める。看護師歴33年、災害レスキューナース歴29年。現在はフリーランスの看護師として国内での講演と防災教育をメインに行い、要請があれば被災地での活動を行なっている。著書に『地震・台風時に動けるガイド 大事な人を護る災害対策』
(Gakken)などがある。

辻直美さん
iikoto

『iikoto』は、豊かに、健やかに、楽しく暮らすためのヒントが詰まった、一条のライフスタイルマガジンです。無料でプレゼントいたしますので、バックナンバーページからぜひご請求ください。

※本記事は『iikoto』(2024年9月号)の特集をもとに編集しています。

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