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12-8 安全な暮らし

体と心のストレスを軽減する! 健康を守る防災対策

2025.09.16

いざという時もこれで安心!備えて試せる防災力アップ術《後編》

今回は、防災の考え方と自宅でできる「備え」について、国際災害レスキューナースの辻直美さんにお話を伺いました。前編では、命に直結する「食・水」の備え方について教えていただきました。後編では、意外と見落としがちな「衛生」「睡眠」「メンタル」の備えについてご紹介します。多角的なアプローチで、さらに「防災力」をアップしましょう。

防災 WHY&TRY 防災 WHY&TRY

CATEGORY02 衛生 CATEGORY02 衛生

防災を考える際に見落としがちなのが衛生面のこと。災害によりライフラインが途絶えると、身体の清潔さを保つことが、とても難しくなります。

便利アイテムが逆効果になることも 便利アイテムが逆効果になることも

WHY どうして? WHY どうして?

災害時でも感染症対策として清潔さを保つことは重要。ただ全身のケアを水に頼ると備蓄量が増えて管理も大変です。身体を清潔にする便利なアイテムは色々ありますが、試したことがないと、いざというとき肌に合わない、好みの香りでない、など使えない可能性が。

TRY やってみよう! TRY やってみよう!

髪を清潔に保つには、洗い流す必要のない「ドライシャンプー」が便利。身体用には、ボディシートなどを準備しておきましょう。実際に試して自分に合ったものを見つけておくことが大切です。

  • ヘアケア ヘアケア

    ドライシャンプーには、スプレー、シート、ジェルなど、さまざまなタイプがあるので、ふだんから実際に使ってみて使い勝手や香りをチェック!

    ボディケア ボディケア

    ニオイが気になる脇の下などは、アルコール入りのボディシートでケア。肌荒れのときや敏感肌の人は、アルコールフリーで肌に優しい赤ちゃん用のおしり拭きがおすすめです。

洋服の前に“下着”対策を考える 洋服の前に“下着”対策を考える

WHY どうして? WHY どうして?

地震で断水すれば、飲用水はもちろん、生活用水もひっ迫するため、洗濯も満足にできない状況に。衛生面を考慮して、デリケートゾーンに直接触れる下着の対策は欠かせません。

  • TRY やってみよう! TRY やってみよう!

    使い捨てのペーパーブリーフや尿取りパッドを備えておくのがおすすめ。どうしても洗濯したい場合は、ビニール袋に下着と少量の水、洗剤を入れてもみ洗いし、少量の水で数回すすぎ、ギュッと絞ってから干せばOK。

最重要課題は、トイレ 最重要課題は、トイレ

WHY どうして? WHY どうして?

どんな状況でも我慢できないのがトイレ。断水すると、便器の水も流せなくなります。人がトイレに行く回数は1日に約7〜8回、断水は2〜3週間続くケースもあるので、しっかりとした備えが必要です。

TRY やってみよう! TRY やってみよう!

災害用トイレは、市販品を買わなくても身近にあるものをベースに簡単につくれます。家の便器を使うので、ふだんと同じ環境で用が足せ、ストレスの軽減にも。

  • 災害用トイレのつくりかた 災害用トイレのつくりかた

    便座を上げ、ゴミ袋(45L/2枚)を二重にかぶせる
    吸水面を上にしてペットシーツ (1枚)を折りたたみ、便器の奥に入れる
    便座を下げたら完成!

    ※使用後は新聞紙(古紙1枚)をちぎって排泄物にかぶせ、上のゴミ袋だけ取り出して口を結んで処分。

    災害用トイレの詳しいつくりかたは、
    コチラから

  • 災害時こそ、感染症に注意!
  • 災害用トイレの詳しいつくりかたは、コチラから

災害時こそ、感染症に注意! 災害時こそ、感染症に注意!

WHY どうして? WHY どうして?

被災すると心身にダメージを受けることで免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。対策には水が必要ですが、災害時はできるだけ節水をしながら、清潔さを保てるような工夫が必要になります。

  • TRY やってみよう! TRY やってみよう!

    ペットボトル(500ml)のキャップにキリなどで穴を1ヵ所開け、水を入れたボトルにセットすることで、節水シャワーの完成です。入浴できないときにデリケートゾーンだけでも洗い流せば、膀胱炎などの感染症予防になります。

CATEGORY03 睡眠 CATEGORY03 睡眠

環境が激変するなか、どうすれば質の高い睡眠をとれるのか?また、就寝中の被災を想定して備えておきたいものとは?大切なポイントについてご紹介します。

寝室こそ、逃げるための備えを 寝室こそ、逃げるための備えを

WHY どうして? WHY どうして?

災害は24時間いつ・どんなときでも起こる可能性があります。無防備な就寝中に災害に見舞われ、真っ暗で足元も見えない中、裸足で逃げなければいけない…そんな状況を想定しておくことも大切です。

  • TRY やってみよう! TRY やってみよう!

    足元を気にせず安全に避難できるように、ベッドの下にスニーカーなどの靴と懐中電灯を常備。外に逃げることも考え、玄関までの動線には極力ものを置かないほうがベター。また転倒防止のため、ベッドの頭と足元には背の高い家具を置くのは控えましょう。

眠りやすい姿勢を知る 眠りやすい姿勢を知る

WHY どうして? WHY どうして?

災害時の強いストレス下で熟睡できないのは当然のこと。横になるだけでも身体は休まりますが、疲れをとるためには、しっかり眠りたいもの。人は不安解消のため丸くなって寝る傾向があり、これを応用した姿勢で、快適な睡眠が期待できます。

TRY やってみよう! TRY やってみよう!

お腹の緊張がほぐれ、腰の負担が少ない「ゴールデンエッグバランス」と呼ばれる姿勢で寝てみましょう。

ゴールデンエッグバランス ゴールデンエッグバランス

お尻を起点に、頭側を約30度、足側を約45度起こし、膝を曲げます。背中や脚の裏側には毛布やクッションなど(ない場合は防災リュックや服など)の柔らかいものを密着させて体重を分散させます。

CATEGORY04 メンタル CATEGORY04 メンタル

どうしても気分が滅入ってしまう災害時。少しでも心を落ち着かせ、笑顔を取り戻すことができる方法やアイテムを知っておくことが乗り切る力になります。

楽しい気持ちになれるアイテムを揃えておく 楽しい気持ちになれるアイテムを揃えておく

WHY どうして? WHY どうして?

災害時に少しでも気持ちが前向きになれば、より早く日常が取り戻せます。大人も子どもも心が開放できて笑顔になれるような娯楽や遊びを見つけておきましょう。

TRY やってみよう! TRY やってみよう!
  • 電気を使わないトランプやボードゲームなど家族みんなで盛り上がれる玩具を揃えて遊んでみましょう。ラジオで音楽を聴くのもGOOD!また道具を使わない「むすんでひらいて」などの手遊びや「しりとり」などの言葉遊びもおすすめです。

日常の”小さな災害”で心を鎮める練習をしておく 日常の”小さな災害”で心を鎮める練習をしておく

WHY どうして? WHY どうして?

災害時は自分を見失ってしまうこともあります。例えば「朝寝坊した」「子どもがジュースをこぼした」など日常の些細なトラブルも実は“小さな災害”と捉え、気持ちを落ち着かせる練習をしておけば災害時に活かすことができます。

TRY やってみよう! TRY やってみよう!

気持ちを落ち着かせる「3・3・3の法則」を試してみましょう。「嗅覚」「触覚」「視覚」に、それぞれ3秒、3分、30分ほどで作用し、心を鎮めてくれます。

  • 3秒 3秒
    好きな“香り”でリラックス
    • 脳に直接届く「香り」は気分転換に有効。コーヒー好きの人ならドリップバッグの香りもおすすめ。

  • 3分 3分
    “触って”落ち着く
    • ふんわり、もちもちなど触ると心が落ち着くものを常備。見た目にも癒やされる、ぬいぐるみも◎。

  • 30分 30分
    “見る”“読む”で元気になる
    • 大切な人の写真やお気に入りの絵、好きな本などを見たり読んだりすることで心が安定します。

―COLUMN― 災害時は混乱して、ふだんの半分しか行動できない ―COLUMN― 災害時は混乱して、ふだんの半分しか行動できない

  • 例えば、避難するときに混乱して、自分の住んでいる家の扉が開き戸なのか引き戸なのかわからなくなることも。危機的な状況になったら、人はふだんできている半分しか行動できません。だからこそ、準備が重要になります。

まずは自分ごとで捉える。災害時を見据えて、とにかく試してみる。そして、いざというときに、しっかり動ける「防災力」を身に付けましょう。

※本記事は「iikoto」2024年9月号を再編集したものです。掲載情報は発行当時のものになります。

監修 国際災害レスキューナース/
一般社団法人 育母塾代表理事
辻直美さん

看護師として勤務中に阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に災害医療に目覚める。看護師歴33年、災害レスキューナース歴29年。現在はフリーランスの看護師として国内での講演と防災教育をメインに行い、要請があれば被災地での活動を行なっている。著書に『地震・台風時に動けるガイド 大事な人を護る災害対策』
(Gakken)などがある。

辻直美さん
iikoto

『iikoto』は、豊かに、健やかに、楽しく暮らすためのヒントが詰まった、一条のライフスタイルマガジンです。無料でプレゼントいたしますので、バックナンバーページからぜひご請求ください。

※本記事は『iikoto』(2024年9月号)の特集をもとに編集しています。

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