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11-45 憧れのライフスタイル

子どもに伝わる 言い換え術

2025.12.15

前向きな言葉で子どもが伸びる!親の思いがまっすぐ届く伝え方《後編》

13,000件以上の子育て相談を受けてきた教育家の石田勝紀さんに伺った、親子の会話で意識したいことや、子どもに声をかける時の言葉選びと伝え方の工夫をご紹介している今回の特集。前編では、子どもの自信を育むための会話の心構えなどについてお話を伺いました。後編では、実際にネガティブな言葉をポジティブに言い換える方法や、効果的なポジティブワードの使い方を解説します。前向きなコミュニケーションで、親子の絆をさらに深めましょう。

Let's 言い換え! ネガティブワード Let's 言い換え! ネガティブワード

日頃、親が無意識に使っている言葉の中には、子どもの心を傷つけ、自己肯定感を下げてしまう“ネガティブワード”が含まれていることも。ネガティブをポジティブに変える、言い換え例をご紹介します。 日頃、親が無意識に使っている言葉の中には、子どもの心を傷つけ、自己肯定感を下げてしまう“ネガティブワード”が含まれていることも。ネガティブをポジティブに変える、言い換え例をご紹介します。

ゲームなどに夢中で、一向に宿題を始めないとき ゲームなどに夢中で、一向に宿題を始めないとき

ネガティブワード 「まだ宿題やらないの?」 ネガティブワード 「まだ宿題やらないの?」
問題点

ゲームなどに熱中しているとき、子どもは「宿題」というワードを簡単にスルーしてしまいます。つまり聞いていない状態。無理に命令すると「今やろうと思っていたのに!」と反発されてしまうことも。

  • 「いつ、⚪︎⚪︎(ゲームなど)終わる?」 ポジティブチェンジ! 「いつ、⚪︎⚪︎(ゲームなど)終わる?」 ポジティブチェンジ!
  • 今の行動に焦点を当て、「いつ、終わる?」と、終わることを前提に話します。子どもが「あと5分」と言ったら、5分後に再度「いつ、終わる?」と軽い感じで聞いてください。これを繰り返すと、子どもは答えるのが面倒になり、その行動をやめます。

問題を解くのに時間がかかるとき 問題を解くのに時間がかかるとき

ネガティブワード 「なんでそんなに遅いの?10分で終わらせなさい」 ネガティブワード 「なんでそんなに遅いの?10分で終わらせなさい」
問題点

子どもの時間は大人よりもゆっくりと流れています。中には、何をするにもマイペースな子も。やみくもに急がせると、その子本来のリズムが崩れてしまい、いい加減になるなど良い結果になりません。

  • 「問題を半分にして、10分で解いてみようか?」 ポジティブチェンジ! 「問題を半分にして、10分で解いてみようか?」 ポジティブチェンジ!
  • 子どもができる範囲に対象を絞るような声かけが効果的です。ただ問題数を減らすのではなく、「最低限これだけは必要」という問題に絞ってください。半分でできるようになったら、徐々に数を増やして、無理せずスピードアップを図りましょう。

向上心や競争心が感じられないとき 向上心や競争心が感じられないとき

ネガティブワード 「頑張ればあなたはもっとできるのに」 ネガティブワード 「頑張ればあなたはもっとできるのに」
問題点

この言葉で伝わっているのは「あなたはやらない子ね」というメッセージ。
かえって意欲が削がれてしまいます。また、なぜ嫌なことを我慢して頑張る必要があるのか、子どもには理解ができません。

  • (得意なことに対して)「すごいね!そんなにできるんだ!」 ポジティブチェンジ! (得意なことに対して)「すごいね!そんなにできるんだ!」 ポジティブチェンジ!
  • 親が頑張って欲しいことではなく、子どもの好きなことや得意なことを褒めてあげてください。好きな分野で意欲が高まれば、勉強やスポーツなど他のものにも広がっていきます。子どもが“自分で”やる気を出すまで見守りましょう。

「むかつく・うざい」など文句ばかり言っているとき 「むかつく・うざい」など文句ばかり言っているとき

ネガティブワード 「そういう言葉を使うのはやめなさい」 ネガティブワード 「そういう言葉を使うのはやめなさい」
問題点

学校や家庭、友だち関係など、子ども
だっていろいろな不満を抱えています。文句を言わないように注意すると、子どもは表面的には黙るかもしれませんが、心の内にはどんどんストレスを溜め込むことに。

  • 「その話、もうちょっと詳しく聞かせて?」 ポジティブチェンジ! 「その話、もうちょっと詳しく聞かせて?」 ポジティブチェンジ!
  • 不満の内容を詳しく聞くのがポイントです。批評や説得はせず、5W1Hを意識してどんどん質問してください。子どもは話すことで、マイナス感情を発散でき、すっきりします。話す過程で状況が整理され、相手の事情や気持ちに気が付けることもあります。

家庭で決めたルールが守れていないとき 家庭で決めたルールが守れていないとき

ネガティブワード 「ちゃんと食器を下げて。約束したでしょう?」 ネガティブワード 「ちゃんと食器を下げて。約束したでしょう?」
問題点

このような「指示・命令」の声かけに子どもは反発します。その場は言うことを聞いても、翌日にはまた約束は破られるでしょう。しつこく言い続けることで、子どものマイナス感情を助長しかねません。

  • (約束を守れているときに)「自分でやってくれているね。ありがとう、助かるよ」 ポジティブチェンジ! (約束を守れているときに)「自分でやってくれているね。ありがとう、助かるよ」 ポジティブチェンジ!
  • 「できていないとき」ではなく、「できているとき」にフォーカスしましょう。食器を下げているときに「よくやってくれたね」「ありがとう」「助かった」と声をかければ、子どもは感謝される喜びを知り、その後も自ら行動できるようになっていきます。

発表会やテスト前で緊張しているとき 発表会やテスト前で緊張しているとき

ネガティブワード (深刻な感じで)「絶対大丈夫よ、自分を信じて」 ネガティブワード (深刻な感じで)「絶対大丈夫よ、自分を信じて」
問題点

「大丈夫」は伝え方に注意が必要です。緊張しているときに「絶対大丈夫!あんなに練習したでしょ!」などと大げさに言ったり、深刻な表情で伝えたりすると、ますますプレッシャーに。

  • (軽い感じで)「大丈夫、へいきへいき」 ポジティブチェンジ! (軽い感じで)「大丈夫、へいきへいき」 ポジティブチェンジ!
  • “軽く、フワッと”言うのがポイントです。「大丈夫だよ〜」「へいきへいき〜」のように、さらりと伝えることで、子どもの気持ちも軽くなっていきます。ほかには、「今日の夜ごはん、何にしようか?」などと別の話題をふり、意識をそらすのも効果的。

ひと言で効果あり! ポジティブワード ひと言で効果あり! ポジティブワード

ポジティブワードを頻繁に使うことで、自然とネガティブワードは減っていきます。ここで紹介するワードは、どれも短くシンプルなもの。いつでもどこでも誰でも使えるので、どんどん日々の会話に取り入れてみましょう。 ポジティブワードを頻繁に使うことで、自然とネガティブワードは減っていきます。ここで紹介するワードは、どれも短くシンプルなもの。いつでもどこでも誰でも使えるので、どんどん日々の会話に取り入れてみましょう。

ありがとう! うれしい! 助かった! 感謝のポジティブワード ありがとう! うれしい! 助かった! 感謝のポジティブワード

感謝や喜びの気持ちを伝えるワード。言われた子どもは「自分は必要とされている」と実感します。お手伝いのときなど、必ず声に出して伝えてください。普段からたくさん頼みごとをして、お礼を言う機会を増やすのもおすすめです。

  • お茶運んでくれるの?ありがとう! お茶運んでくれるの?ありがとう!

    たとえ失敗しても、やろうとしてくれた気持ちに感謝して、心を込めて言いましょう。

  • お花に水やりしてくれたんだ、うれしい! お花に水やりしてくれたんだ、うれしい!

    「うれしかったよ」とありのままの気持ちを伝えることで、子どもは誇らしさを感じます。

  • 洗濯物をたたんでくれて、助かったよ! 洗濯物をたたんでくれて、助かったよ!

    「助かった、ありがとうね」のように感謝のワードを組み合わせて使うと、さらに効果的です。

すごいね! さすがだね! いいね! 承認のポジティブワード すごいね! さすがだね! いいね! 承認のポジティブワード

子どもの行動や頑張りを認めるワード。「自分はすごい!」と自信をつけさせ、やる気を引き出します。ささいなことでも子どもの良いところや優れたところを探して、これらのワードでたっぷり褒めてあげてください。

  • にんじん食べられたじゃん!すごいね! にんじん食べられたじゃん!すごいね!

    日常のちょっとしたことが、実は絶好の「褒めポイント」です。積極的に探してみましょう。

  • ひとりでお片付けしたんだ、さすがだね! ひとりでお片付けしたんだ、さすがだね!

    褒められて心が満たされた子どもは、「よし、次も頑張ろう!」という前向きな気持ちに。

  • 90点取れたんだ、いいね! 90点取れたんだ、いいね!

    勉強面では、褒めすぎることが余計なプレッシャーに。「いいね」と軽く伝えるのがGOOD。

ポジティブワードは「軽く・明るく・さりげなく」 ポジティブワードは「軽く・明るく・さりげなく」

「褒めよう、感謝を伝えよう」と意識すると、つい大げさになったり、わざとらしくなったりしてしまいがち。こうした不自然な態度に、子どもは「嘘くささ」を感じて、やがては反発してしまうこともあります。そうならないように、ポジティブワードは「軽く・明るく・さりげなく」を心がけましょう。無理なく自然に発した言葉は、より子どもの心に響きやすくなります。

親が楽しむ気持ちから“伝え方”は変わる 親が楽しむ気持ちから“伝え方”は変わる

子どもへの伝え方を変えるには、親自身の気持ちを変えていくことが大切です。心がポジティブなら、ネガティブな言葉は出にくくなります。だからこそ、まずは親が自分の人生を楽しむ姿勢へ、少しずつ心を切り替えていきましょう。
また、子育てについて不安があるということは、それだけわが子を愛している証拠です。途中で壁にぶつかろうと、愛情を受けた子どもには必ず明るい未来が待っています。ぜひ、親子の暮らしをポジティブな言葉で満たしてください。

※本記事は「iikoto」2024年8月号を再編集したものです。掲載情報は発行当時のものになります。

SUPERVISOR 
一般社団法人 教育デザインラボ代表理事
石田 勝紀さん

20歳で学習塾を創業。直接指導では4,500人以上、講演・セミナー等では5万人以上の教育支援に携わる。2016年からは母親向けのカフェスタイル勉強会「Mama Café(ママカフェ)」を主宰。年130回以上の開催を通じて、延べ
1.3万人の母親からの対面相談を受けてきた。『みんなの自己肯定感を高める 子育て言い換え事典』など著書多数。

石田 勝紀さん
iikoto

『iikoto』は、豊かに、健やかに、楽しく暮らすためのヒントが詰まった、一条のライフスタイルマガジンです。無料でプレゼントいたしますので、バックナンバーページからぜひご請求ください。

※本記事は『iikoto』(2024年8月号)の特集をもとに編集しています。

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