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家を建てるとき、なにを基準にして土地を選んだらいい?
2021.12.10
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家を建てる際には、都市計画法や建築基準法など、さまざまな法律を守る必要があります。たとえば、13種類に分けられた用途地域では、地域ごとに建てられる建物の用途や規模が制限されています。そのほか、建ぺい率・容積率、高さ制限、採光規定、地域地区の制限、隣地との距離制限などが定められています。
ここでは、各種の規制や制限について解説します。
都市計画法のルールのひとつに用途地域があります。用途地域は、簡単にいうと、「その土地にどんな建物が建てられるのか」を定めたもの。用途の混在を防ぎ、計画的な市街地を形成するために、地域ごとに建てられる建物の種類や大きさが制限されています。なお、用途地域の指定がない土地もあります。
用途地域は、住居系用途地域・商業系用途地域・工業系用途地域の3つに大別され、さらに13種類の地域に分かれます。
○住居系用途地域:第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域・第1種中高層住居専用地域・第2種中高層住居専用地域・第1種住居地域・第2種住居地域・準住居地域・田園住居地域
○商業系用途地域:近隣商業地域・商業地域
○工業系用途地域:準工業地域・工業地域・工業専用地域
例として住居専用地域についてご説明します。住居専用地域は、第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域・第1種中高層住居専用地域・第2種中高層住居専用地域の4つです。
低層住宅の良好な環境を守るための地域。住宅のほかに、50㎡(合計床面積)以下の住居を兼ねた店舗や小中学校、診療所などが建てられます。
第1種低層住居専用地域の例に加え、150㎡(合計床面積)以下の店舗や飲食店、コンビニも建てることができます。
中高層住宅の良好な環境を守るための地域。500㎡(合計床面積)以下の店舗や中規模な公共施設、大学などが建てられます。
第1種中高層住居専用地域の例に加え、2階建て以下かつ1,500㎡(合計床面積)以下の店舗やオフィスも建てることができます。
住居専用地域は「主に住宅の良好な住環境を守るために指定された地域」であるため、建物の高さや隣地との距離について、法律の制限が厳しい場合があります。事前に建築条件を確認して、希望のサイズの家が建てられるのか確認しておくのがよいでしょう。
建ぺい率と容積率はいずれも、建物を建てる敷地の広さに対する建物の大きさの割合のことで、用途地域ごとに制限が定められています。
まず建ぺい率は、「敷地に対する建築面積の割合」です。分かりやすくいえば、「どのくらいの大きさの建築物を建てられるのか」を定めた数値。用途地域ごとに30〜80%の範囲で制限されています(場合によっては100%になることもあります)。なお、建築面積とは原則として、外壁や柱の中心線で囲まれた部分の面積のことです(倉庫や屋根のあるカーポートも建築面積に含まれます)。
たとえば、建ぺい率が50%の地域で敷地面積が100㎡の場合、最大50㎡までは家を建てることができます。また、特定行政庁が定めた角地の場合は建ぺい率が10%緩和されるため、上記の条件だと、最大60㎡までは建物を建築することができます。
一方容積率は、「敷地に対しての各階の床面積の合計の割合」のことです。分かりやすくいえば、「どれだけ階数を積めるか」ということになります。住宅の場合、用途地域ごとに50~500%の範囲で制限が決められています(商業地域では1,000%を超えても建築できる場合があります)。
容積率が100%の地域で敷地面積が100㎡の場合、最大100㎡の延床面積の建物を建築できます。なお、延床面積とは、建物のすべての階の床面積を合計した面積のことです。
自分の敷地だからといって、どんな建物でも、どんな大きさでも好き勝手に建てていいというわけではありません。建築基準法では、前面道路や隣地の採光・通風を確保するため、建物の高さを制限するルールが設けられています。
用途地域によって建物の高さの上限が決められる高さ制限には、①斜線制限・②絶対高さ制限・③日影規制などがあります。
斜線制限とは、建物の高さを制限する法律です。道路や隣地の採光、通風を確保し、圧迫感をやわらげることが目的で、一定のルールのもと、道路斜線の起点や敷地境界から建築地もしくは敷地に向かって斜線(上図の赤い点線)を引き、その斜線内に建物を収めるようにします。斜線制限には、道路斜線制限と北側斜線制限、隣地斜線制限の3種類があります(一戸建ての建築に影響するのは、道路斜線制限と北側斜線制限の2種類です)。
道路斜線制限は、道路の日当たりや通風に支障をきたさないように、建物の各部分の高さを規制したものです。道路境界線の反対側の境界線から敷地に向かって一定のルールに基づいた斜線を引き、その斜線の中に建物を収めなければなりません。
一方、北側斜線制限は、北側隣地の日照等を確保するため、建物の高さを規制したものです。敷地境界線から建物に向かって真北に斜線を引き、その斜線の中に建物を収めなければなりません。
次に絶対高さ制限は、地面から建物の一番高いところまでの高さを規制します。第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域では、建物の高さを10mまたは12m以下(地域によって制限の高さが変わる)にするよう定められています。
日影規制は、中高層の建物によって冬至日(一年の中で影が一番長く伸びる日)に一定時間以上日影となる部分を、敷地境界線から一定の範囲内におさめる規制のことです。中高層の建物によって生じる日影を一定の時間内に抑えることによって、周辺の居住環境を保護します。
日影規制の対象地域は、条例で指定されています。また、時間や範囲、近隣説明の有無等は、自治体によって異なります。
建築基準法では、居室に採光のための窓等を設置することが義務づけられています。採光に有効な窓等の面積は、住宅の場合、各居室の床面積の1/7以上としなければなりません。なお、建物の用途によってその割合は異なります。
また、一定の規模・用途の建物には、排煙窓の設置が義務づけられています。排煙窓とは、火災の際に煙を排出するために設置する窓のこと。煙を吸ってしまうことによる一酸化炭素中毒を防ぐのが目的です。ただし、「階数が2階以下、かつ、延床面積が200㎡以下の一戸建て」または「居室の床面積×1/20 ≦ 換気に有効な窓面積」にあてはまる小規模な建物では、排煙窓の設置が不要となります。
都市計画法にもとづく地域地区によって、建物の建築等が制限される場合があります。
たとえば自然美を維持・保存することを目的に創設された風致地区では、建物の建築や樹木の伐採などに一定の制限が加えられます。
ほかには、建物の高さの最高限度または最低限度を定める高度地区や、市街地の良好な景観を形成するために定める景観地区などがあります。
隣地との距離については、「建物を建築する場合、建物を境界線から50cm以上離すこと」という民法の規定が適用されます。50cmは建物の外壁から境界線までの最短距離であり、屋根や軒からの距離ではありません。なお、民法に罰則規定は存在しませんが、相手側から損害賠償を請求される可能性はあります。
一方、建築基準法の外壁後退の規制では、第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域・田園住居地域において、道路や隣地との境界線から一定の距離(1mまたは1.5m)、外壁を後退させなければならない場合があります。
※民法では、低層住居専用地域以外でも隣地との境界線から50㎝以上離さなければならない、と定められています。
法律上は問題なくても、隣地が日影になることはありますし、そのほか、エアコンの室外機の騒音や臭気が原因でトラブルに発展するケースもあるので、隣地との距離には十分注意しましょう。
> 建築するときに注意すべきポイント建物を建築するにあたっては、
都市計画法や建築基準法などの
法律がある
○用途地域:地域が13種類に分けられる
○建ぺい率・容積率:建物を建てる敷地の広さに対する建物の大きさの割合
○高さ制限:用途地域によって建物の高さの上限が決められ、斜線制限(道路斜線・北側斜線・隣地斜線制限)・絶対高さ制限・日影規制がある
○採光・排煙規定:採光・排煙のために、一定以上の割合の窓や排煙設備を設置すること
○地域地区の制限:地域地区によって建物の建築等が制限される
○隣地との距離制限:道路や隣地との境界線から一定の距離を空けること
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