
屋外には、快適な生活を脅かす種々の因子があります。それらは住宅の「隙間」から室内に侵入してきます。
例えば、湿気を含んだ空気、冷気や熱気、クルマの排気ガス、花粉やカビの胞子、害虫、騒音などです。
では、建物に隙間が多いと、どんな弊害があるでしょう。
第一に、屋外の湿気が住宅内に侵入してくるため湿度管理ができません。
第二に、外気温に左右されやすくなるため快適な温度管理ができません。冷暖房費も余計にかかります。
第三に、花粉や粉塵、害虫などの侵入を許すことになります。
さらには、外の音が入ってくるので、静かな住環境を守ることもできません。
このような"招かれざる侵入者"を防ぐためには、住宅の隙間を無くすこと、すなわち気密性を高めることが大前提となります。

住宅を高気密化することのメリットは、何より、住まいの「湿度管理」が容易になることです。
気密性の低い住宅では、外の湿気を含んだ空気が侵入してきますから、基本的に湿度コントロールが難しいのです。
住宅の気密性を高めることによって、外気の影響を最小限に抑えられるので、空調設備や換気システムを使って、温度と湿度の管理が可能になります。冷暖房においても、小さなエネルギーで快適な空調が行えますから、省エネルギー=光熱費の節約にもつながります。そして、ジメジメとした梅雨時でもダニ・カビの発生を大幅に抑制でき、また冬場の厄介な結露も防ぐことができるので、一年中カラッと爽やかで健康的な環境を実現できるのです。
人ひとりが部屋で快適に過ごすためには、1時間に4.5帖分の新鮮な空気が必要といわれます。一昔前の隙間だらけの家なら空気が自然に入ってきますが、残念ながら、花粉や排気ガスなどの有害物質も一緒に侵入してしまいます。そのために、適切な機械換気が必要となるのです。ところが、気密性の低い家では隙間のある場所から勝手に空気が出入りしてしまい、家全体の空気を入れ換えることができません。つまり、気密の低い住宅は"途中に穴のあいたストロー"のようなもの。いくら強く吸っても住まいのすみずみに漂う汚れた空気を吸い出せないのです。住まい全体を計画的に換気しようとすれば、C値=2cm2/m2以下の高気密住宅である必要があります。