11-27 憧れのライフスタイル

毎日のメニューにプラス魅惑のスパイス②

2024.07.16

ひとふりの魔法で料理が変わる！スパイスの深い魅力や楽しみ方《後編》

2024.07.16

ふわり立ちのぼる香気
魅惑のスパイス《後編》

スパイスの深い魅力や楽しみ方について、前後編に分けてご紹介している「ひとふりの魔法で料理が変わる！スパイスの深い魅力や楽しみ方」。後編では、知っておきたいスパイスの豆知識やQ&A、さらにスパイスを効果的に使ったレシピなどを、スパイス料理研究家の印度カリー子さんに伺いました。学んで、使って、味わって、スパイスの奥深い世界を満喫しましょう。

前編はこちらから

ひとふりの魔法で料理が変わる！スパイスの深い魅力や楽しみ方《前編》

スパイスの深い魅力や楽しみ方について、前後編に分けてご紹介している「スパイスを使うのは難しい？スパイス料理研究家が教える、スパイスの深い魅力や楽しみ方」。後編では、知っておきたいスパイスの豆知識やQ&A、さらにスパイスを効果的に使ったレシピなどを、スパイス料理研究家の印度カリー子さんに伺いました。学んで、使って、味わって、スパイスの奥深い世界を満喫しましょう。

スパイスについて気になることを、印度カリー子先生に教えていただきました！

準備編

これから使ってみたいけど、
どこで買えるの？

ターメリック、クミン、コリアンダー（タ・ク・コ）などの基本的なスパイスは、スーパーや百貨店、インターネットでも購入できます。いきなりたくさんのスパイスを集めなくても、必要な分のスパイスが揃ったセットなら余らせる心配もありません。

スパイスって子どもにはよくないの？

タ・ク・コのスパイスは、素材本来の味を引き立ててくれるので、小さいうちからでも取り入れられます。味覚を広げる「食育」としてもおすすめですが、辛味のあるスパイスの使用は避けましょう。

スパイスを使うときの注意点は？

スパイスが苦手になってしまう大きな原因の一つは“入れすぎ”です。スパイスは「香り」を楽しむもの、主役はあくまで食材です。最初はひとつまみから、少しずつ足すといいでしょう。

使用編

スパイスってそのまま食べてもいいの？

スターアニスやシナモンなど、かたいホールスパイス^※1は調理の最後か、食べるときに取り除くようにしましょう。それ以外のスパイスは、食感や噛んだ瞬間のアクセントとして食べることができます。

調理中にホールスパイスを焦がしてしまったら？

焦げたホールスパイスは汁気のある料理であれば、浮いてくるので取り除くようにしましょう。慣れないうちは、ホールスパイスを油で熱するなどの下準備をしてから、料理を始めると良いでしょう。

スパイスの使用期限っていつまで？

使用期限は、パッケージの日付だけでなく香りがするかでも判断できます。正しい場所に保管しておけば、ホールスパイスは何年でも持ってくれます。パウダースパイス^※2は劣化が早く、ひと夏を越したら香りが飛んでしまうと思った方がいいでしょう。

※1 葉や種子などの部位をほぼ原型のままの状態で乾燥させたもの。

※2 ホールスパイスを粉砕した粉末。

columnスパイスの保存方法って？

保存するときに避けるべき条件は「高温」「多湿」「日光」の3つです。インドなど高温の地域でも使われていますが、30℃以下での保管が求められます。また、植物を乾燥させたものであるスパイスは湿度が高いとカビが生えやすくなってしまいます。そのため、冷蔵庫など出し入れする際に温度変化が起きる場所は湿気が発生しやすくなるのでおすすめしません。さらに、日光の紫外線によって色素などが揮発し抜けてしまうため、温度変化の緩やかな棚の中などに入れておくと良いでしょう。

密閉容器・密閉袋・冷暗所（戸棚など）での保管がおすすめ！乾燥剤を入れておくと鮮度の保持に役立ちます。

ほんのひとふりするだけで、いつもの料理がグレードアップ！ここでは、タ・ク・コそれぞれをちょい足しする簡単アレンジレシピをご紹介します。スパイスの香りと素材の相性がマッチすることで起きるミラクルな変化を、ぜひ試してみてください。

材料（2人前）

米：2合（360ml）
水：2合（360ml）
シーフードミックス：100g
バター：10g
コンソメ（キューブ）：1個
ターメリック（パウダー）：小さじ1/4
パセリ（お好みで）：少々

作り方

❶ 米は水で洗ってザルにあげ、水気を切る。
❷ 炊飯器の内釜に米、分量の水を入れ、
残りの材料を全て加えて炊く。
❸ お好みでパセリのみじん切りを散らす。

色鮮やかな黄色いごはんが
食欲をわかせてくれます。
シーフードミックスの魚介臭さを
ターメリックが和らげてくれるのも
嬉しいポイント。

材料（2人前）

豚ロース（しょうが焼き用）：4枚
クミン（ホール）：小さじ1/2
サラダ油：大さじ1
＜下味＞
しょうゆ：大さじ2　　みりん：大さじ1
酒：大さじ1 　　砂糖：小さじ1
しょうが（すりおろし）：小さじ1

作り方

❶ 豚肉は＜下味＞に10分漬ける。
❷ フライパンにクミンと油を入れ、強火で1分、クミン全体から泡が立つまで熱する。
❸ 豚肉を加え、両面を焼く。

肉と一緒に半分に切ったオクラを
焼いて付け合わせにしてもGood！
クミンはホールではなく、
食べる直前にパウダーをふったり、
下味に混ぜたりするのもおすすめ。

材料（2人前）

ミニトマト：20個前後
コリアンダー（パウダー）：小さじ1
＜ドレッシング＞
プレーンヨーグルト：大さじ3
塩：小さじ1/2　　砂糖：小さじ1

作り方

❶ オーブンの天板にクッキングペーパーを
敷き、ミニトマトをヘタ付きのまま並べる。
❷ 200℃に熱したオーブンで20分焼く。
❸ ドレッシングをかけ、コリアンダーをふる。

ミニトマトのヘタはつけたままに
することでカラフルな仕上がりに！
コリアンダーのさわやかな香りが、
ヨーグルトやトマトの酸味と
相性抜群です。

世界と異なる
日本スパイスの歴史

気候風土に恵まれた日本では、昔から新鮮な食べ物を容易に手に入れることができました。そのため、強い香り付けによる消臭や防腐効果を必要とせず、素材の味を大切にする独自の調理文化が築かれました。日本のスパイスの使われ方としては、海に囲まれた国であることから、魚介類にわさびや山椒、生姜など辛みのアクセントを付ける目的で、少量を用いる「薬味」として使われることが多かったそうです。こうした背景から、日本ではスパイス＝辛いという印象が先行していると考えられます。

“スパイスのまほう”
は始まったばかり

数千年の歴史を持つスパイスですが、日本にインドや西洋のスパイスが入ってきたのは長い歴史の中でごく最近のこと。日本の家庭料理とスパイスの組み合わせは、まだまだ未知の世界です。スパイスに慣れ、日常的に取り入れられるようになると、新しい組み合わせの発見があり、毎日の料理にもっとワクワクが溢れるはず。たくさんのスパイスの中から自分好みのかけ合わせを見つける、少し足すだけでいつもの料理が変わる。そんなスパイスの魅力を、ぜひ皆さんも楽しんでください。

前編はこちらから

ひとふりの魔法で料理が変わる！スパイスの深い魅力や楽しみ方《前編》

※本記事は「iikoto」2022年7月号を再編集したものです。掲載情報は発行当時のものになります。

SUPERVISOR：スパイス料理研究家
印度カリー子さん

スパイス初心者のための専門店香林館（株）代表取締役。「スパイスカレーをおうちでもっと手軽に」をモットーに、初心者のためのオリジナルスパイスセットの開発・販売をするほか、レシピ本執筆、大手企業と商品開発・マーケティング、コンサルティングなど幅広く活動。2021年3月東京大学大学院農学生命科学研究科修了。著書に「スパイスのまほう」（秀和システム）ほか多数。